どうも、田舎パソコン教室インストラクターしんのすけでございやす
先日の投稿で、「講師業をやりたいけど失敗したらどうしよう」という方のお悩み相談受け答えを書きました。
その中で書ききれなかった話が本日のテーマです。
私がやっている/やっていた「パソコン教室」事業についてです。
田舎×フリーランス
フリーランスを目指されている方の中で、将来の目標として「故郷の田舎で仕事をする」と言われる人が一定割合いらっしゃいますので、そういった方々にリアルな話としてのご参考になればと思います。
パソコン教室をはじめた経緯
まず、はじめた経緯をご説明します。
地元
プロフィールにも少しだけ書いてますが、私の生まれ故郷は「京丹波町」という京都の片田舎になります。
私が生まれた頃は別の名称でしたが、町村合併で名前が変わりました。
ちょうど京都駅から山陰線で亀岡を越えて、福知山に向かう途中の山間にあり、特産品は黒豆などです。
これといって何もない、とてものどかな場所です。みんな、ゆっくりのんびりです。
目まぐるしく世界が動き回る都会で普段過ごしていると、たまの帰省時、まるで時が止まったかのような錯覚に陥ります。寂しくて懐かしい、私にとってそんな場所です。
実家で自営業
25歳の頃、東京で仕事をしていた私でしたが、家の都合で、実家に帰ることになり、そのタイミングで自営業を始めました。約1年半ほどは実家の田舎におり、東京や大阪の会社からお仕事をいただいて、リモートワークしておりました。メインの事業内容は、ショッピングサイトの構築とWebマーケティングのお手伝いといった感じでした。
家にずっと閉じこもっているのも体に悪いので、事務所を借りることにしました。
(※このときの経緯もまたいずれ記事にします。)
事務所 家賃2万円(一戸建て)
なんやかんやがあって、事務所を借りました。
なんせド田舎なもんで、4部屋もある一軒家の事務所賃料、なんと2万円!
激安価格で事務所を借りたはいいものの、パソコン1台置けるスペースさえあればお仕事できちゃうので、ちょっと私には広すぎて、まー寂しいのなんの。
しかも仕事上のやりとりはすべてメールで完結できていたので、誰とも喋ることもなく、喋る相手もおらず、意味もなく友人に電話をかけまくっていたあの頃。
ちょうどGoogleフォトに当時の写真がありましたのでお見せします。こんなんです。
無駄に広すぎますよね?
教えてと言われる
そんな折、母の友人から「パソコンを教えて欲しい」と言われました。
快諾すると、さらに便乗して「私も習いたい」ということを言う人も現れました。
私は誰とも喋らずに一日を過ごしていると、声帯が弱り、声を出しにくくなるということを身をもって実感し、危機感を覚えていたので、互いの利害関係が一致して、パソコン教室を開くことになりました。
パソコン教室事業
そんなこんなで、流されて始めた事業ですが、こんな内容でした。
事業形態
事務所に来てもらったり、ご家庭訪問をして、パソコンの困り事や、教えて欲しいことを教えるというシンプルなものです。
基本的には、私の本業の都合を優先して、その合間に合わせていただきました。(日程調整して都合のいいタイミングで通っていただく。)
1時間 1500円。 2時間 3000円。 1対1〜1対少数(4名)まで。
正直、めっちゃ安い値段設定にしていました。
アビバなど全国のパソコンスクールの料金をすべて調べ、最安値に合わせました。
教える内容は、めちゃくちゃ簡単なエクセルとかワードとかインターネットの使い方とかです。
ぶっちゃけ、誰でもできるレベルですが、田舎ではかなり重宝がられました。
そのほか、
- なんかパソコンがおかしい
- なにもしてないのにパソコンが壊れた
- なんかネットが遅い
- 新しいパソコンを買いたいけど、どれを選んだらいいかわからない
など、なんでも屋として、地域の便利人をやっていました。
値段設定の安さ
値段はかなり安かったですが、その理由は儲けよりも以下の方針を優先して取り組んでみたからです。
- 地域貢献の一環(田舎の方こそ、Amazonや楽天をうまく使うべき)
- 新しい働き方の社会実験(ボラバイトやプロボノの検証)
考えてみると、今やってるストアカ活動にもなんとなく繋がってきますね。
用語についてwikipedia貼っときます。
ボラバイトとはvolunteer(ボランティア)とArbeit(アルバイト)を合わせた造語。アルバイトと有償ボランティアの中間に位置する活動とされる。
プロボノ(Pro bono)とは、各分野の専門家が、職業上持っている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般。 また、それに参加する専門家自身。
集客方法
田舎は基本、口コミですぐ広がります。
恥ずかしいくらいに噂が駆け抜けます。
田舎の病院はコミュニティスペースの役割もあるのですが、私の母が病院に勤めていたこともあり、特に何もせずともバイラルして(口コミが広がって)いった感があります。
病院なのにバイラル(virus;ウイルス)ってなんか縁起悪いですね(笑
地域限定で新聞の折込広告チラシを一回だけ入れました。たしか3000円で2000部くらいだったかと思います。
予想だにしなかったのですが、各家のおじいちゃんおばあちゃんが、ずっとそのチラシを大切に保存してくれていました。
「何か困ったら、この電話番号にかけよう」ということだと思います。
こういうのって都会じゃあり得ないですよね。
生徒さん
生徒さんは最大時で13人だったかと思います。
少人数制でやっていたのでそんなに自分の時間が割けなかったので、拡大しなかったというのが大きな理由ですね。
50代〜60代のおじちゃん・おばちゃんがメイン層でした。
一番下は、中学生3年生だった男の子を一人受け持っていました。中3から高校を卒業するまで受け持っていました。感慨深いものです。
一番上で、80歳のおばあちゃんがいました。「新しいことを何か挑戦したい!」と言われてパソコンを学びに来られたのですが、その意欲には私も敬服し尊敬するばかりです。今でも仲がいいです。
売上
13人を、2時間3000円、おおよそ月3回程度授業。
なので、13×3000×3 = 11.7万円。
臨時トラブル時の呼び出しや対応などで、月1万円ほど。 計12.7万円。
事業としての収益性は微妙ですが、まぁ本業の片手間で取り組んでおり、副収入としてはまぁまぁってところですかね。
田舎だとこれだけでも暮らせます。
生徒数MAX時でこんなものなので、幅としては 5万円〜13万円の間って感じでした。
授業のお礼に、家で採れた野菜のおすそわけをいただくことも少なくありませんでしたw
隠れた需要
田舎にパソコン教室の需要なんかあるのか?と思ってましたが、これが意外なところであることがわかりました。
田舎は基本的に自治で回っています。自治会が定めた役員が、村の税金を徴収します。その金を使って、獣害用の柵をつくったりいろいろします。
そうすると、何にいくら使ったか。という村の会計役の人が報告書を書かなきゃいけないことになります。
その会計役は、地区ごとの住民から選出されますが、人口も少ないので順番に回していくことになります。数年先まで、その年の会計役に誰がなるかがもう既に決まっています。
会計役、もうすぐ自分の番がくる... → 今の時代、手書きなんか恥ずかしい → エクセルを覚えたい! → だれかエクセル教えてほしい! というワケでして、意外にも需要があるものです。
また、別のニーズもありました。
「なにかしら、自分磨きがしたい。でも、お習い事そのものがない。田舎だから」
通信教育ではなく、通えるお習い事をしてみたいというおばちゃんたちにウケが良く、モテモテでしたw
言うまでもありませんが、参入障壁はガラ空きですが、ライバルの同業他社がいるわけでもなく、市場独占余裕です。
現在の教室の形
本拠地を大阪に移して久しく、もう普段はほとんど授業をすることはありませんが、それでもまだ数名の生徒さんが残ってくださっています。
ありがたいことに、「年に1〜2回でもよいので授業を受けたい」と言っていただきまして、私がお盆や年末年始など帰省するタイミングで連絡を取り、授業をしております。
先日のゴールデンウィークでも帰省したついでに、実家のハナレにて数時間だけ授業しました。
完全にこちら側の都合で商売しているのに、不調なパソコンをチューニングして速くしてあげましたら、とても喜んでくださいました。
私個人の勝手を許してくださり、ファンとしてずっと支えて下さるお客様(生徒さん)に、本当に感謝です。
まとめ
田舎パソコン教室をやって、私が学べたことをざっとまとめます。
- ロケーションを変えるだけで差別化が図れる
- 田舎は固定費めちゃ安い
- 何か商売を始めたら、お客さんは必ずつく
- 目に見えないところに意外なニーズがある
- 田舎で商売するなら病院の待合室にチラシ貼るべし
- 地域の人への感謝を忘れない
講師業を目指される方、田舎でフリーランスを目指されている方、副業としてのパソコン教室(なんでも屋)を検討されている方にとって、ご参考になったでしょうか。
また折を見て、田舎関係の記事を書きたいと思います。
もしなにかリクエストあればTwitterなどで言ってください。
よろしくお願いします。