【テックキャンプ卒業生へインタビュー】僕はこうして未経験からフリーランスエンジニアになりました(前編)

どうも、インタビュワーしんのすけです。

今回は、プログラマーへの転職を検討されておられる方にとって、役に立つ話や、ヒントがあるんじゃないかなあと思います。

プログラミング未経験の状態から、プログラミングスクールの「テックキャンプ TECH::CAMP」(※)に通われ、卒業後は自社Web開発系ベンチャー企業へ就職、現在はフリーランスエンジニアとして独立し、一年間仕事をされた金久正治(かねひさまさはる)さんにお話を伺いました。

(※... 金久さんが通われていた時期はテックエキスパートTECH::EXPERTという名称でした。改名されたそうなので記事内では「テックキャンプ」で統一表記にします。)

長文記事になったので、前後編に分けました。

  • 前編・・・テックキャンプでの学習について聞いてみた。(本記事)
  • 後編・・・テックキャンプでの転職支援/転職先での仕事/フリーランスとしての独立について聞いてみた

他己紹介


金久さん。28歳男性。愛称カネゴン。個人事業主としての屋号は「gontabi style」(ゴン旅スタイル)。
大学時代は男女混成チアリーディング部に打ち込む。
趣味はメルカリ・ジモティーなどで1円でも安く買い物をすること。
性格は温厚で、優しく真面目。友人多く、親想いの孝行息子。

金久さんは、もともとテックキャンプに通われていた時に知り合って、
私が主催するジョギング部や、作ったもん見せ部に、積極的に参加してくれています。

向こう見ずに会社を辞めたあと、一時的に3ヶ月間くらい私の元でフリーランスの弟子として面倒を見ていたことがあります(笑)。だから一応、師匠と弟子といったような間柄です。今でも一緒に仲良くご飯食べたりしてます。

師匠である私から見たら技術力はまだまだ発展途上ですが、持ち前の明るさと積極性を武器に、なんだかんだと仕事が途絶えず、もう一年が経ちます。現在は一人で、ひとつのシステムの新規開発・設計〜テスト・納品までの全行程を任されていて、Laravel/PHP、MySQL、jQeury、AWSを用いたWebシステムの構築・開発に携わっており、お客様とも応対・相談されながら仕事に取り組まれています。

そんな彼の話を、テックキャンプに通っている、または通おうとする人は、みんな聞きたいんじゃないのか?と思いインタビューを敢行致しました。よろしくどうぞ。

エンジニアになろうとするまで

略歴を教えてください。

近畿大学理工学部機械工学科を卒業後、機械設計の仕事を3年間してました。
自分の人生はこれじゃない、と思い25歳のとき仕事を辞めて、
半年間ほど、自分探しの世界放浪旅行にでかけました。
帰国後、フリーランスになることを志して、テックキャンプ(大阪の心斎橋校)に入学を決意。
そのあとは以下のようになります。

  • 2019年3月〜同年5月 テックキャンプ受講
  • 2019年6月〜同年10月 自社Web系ベンチャー企業にて勤務
  • 2019年11月〜2020年12月現在 フリーランスとして独立し活動中

なぜ新卒で入った会社を辞めようと思ったんですか?

某自動車メーカーの元で特定派遣としてCAD図面をひく仕事をしてました。やりがいの無い仕事に加えて、先輩の姿に、夢を持てなかったことが原因でした。

同じオフィスにいる中で仕事が一番できる先輩。土日も含めて毎日朝早くから夜遅くまでボロボロになるまで仕事をしていて、とても辛そうでした。30代後半の若さで年収1000万円をもらってるとのことでしたが、奴隷のような生活ぶりを側から見ていて全然羨ましいと思えなかったんです。それを反面教師として、自分にとって仕事とはお金だけじゃないんだと気付かされました。その会社にいたらあっという間に40歳・50歳になってしまう....そんな恐怖感を感じながら毎日を過ごしてました。

それで、辞めてしまいました。

自分探しの旅で「自分」は見つかりましたか?

明確に「自分」は見つかりませんでしたが、新しい発見がありました。
約6ヶ月間で、中国・韓国・タイ・フィリピンの4カ国を旅しました。フィリピンで、現地在住の日本人フリーランスエンジニアの方と偶然出会ったんです。

海外を長旅していると日本語に飢えるんです。異国の雑踏から、日本語の話し声が聞こえてくると、寂しさからつい寄っていってしまい、そこで「日本人の方ですか?」とお声かけをした人が、2年前にフィリピンへ移住してこられたフリーランスエンジニアの方でした。40代前半くらいの方です。その方と一緒に呑みにいって、生活ぶりについて教えてもらいました。フィリピンで日本の案件をこなされていること。月に10万円あれば、フィリピンではめちゃくちゃ豪遊できること。こんな働き方が世の中にあるのか!すべてが新鮮で、将来自分のなりたいイメージはこれや!と思いました。

貯金も尽きて長旅も終わり。日本に帰ってきたら、まず「フリーランスエンジニアになる方法」を調べました。そしてテックキャンプを見つけたという次第です。

テックキャンプの学習について

単刀直入に言って、料金は安くないと思いますが、テックキャンプは行って良かったですか?

行ってよかったです。これは断言できます。

今は料金も変わってきていて、70万円と聞いてますが、私が通っている当時(2019年3月)で短期コース50万円でした。クレジットカード会社側の金利手数料がかからない範囲の3回分割払いをしました。
以前の職場に勤めていたままの自分では、到底選ぶことができない人生を、選び直せたという点で50万円の価値は全然あったと思いますね。手に職をつけて、自分で仕事を取ってきて、それをこなして納品して報酬をもらう。そんなことをするなんて、本当に夢にも思わなかったですよ。それを実現させてくれたので、だいぶ満足しています。

返金保証ついてますが、どれくらいの人が途中で辞めちゃうんですか?

私のときで、同期入学が30名ほど。そのうち、20名が辞めました。
料金が完全返金されるのは1ヶ月以内です。辞めた20名のうち15名が1ヶ月以内で辞めてました。あと5名は1ヶ月を過ぎて返金がなくても辞めてました。
辞めた原因はシンプルに、学習についていけない、内容を理解できない。ということに尽きると思います。
理解が追いつかない場合、受講期間を延長をする方もいました。

(※追記...現在は返金保証期間は2週間みたいです。2020年12月)

カリキュラムを最後までやり遂げる人の適性ってありますか?

私にはわかりません。ただ、こういった人を見かけました。仮にAさんとします。

テックキャンプは契約して、すぐに通えるわけでなく、入学日まで2週間〜1ヶ月ほど間が空きます。
学習教材は、契約後すぐにいただけるので、入学までに予習することも可能なのですが、Aさんは入学日までにすべての教材を一通り全部やってしまうような学習意欲の高い方でした。
積極的に予習をすすめていたおかげで、Aさんの学習進捗度は、前半めちゃくちゃ早かったです。(通常の人の2倍のスピードで課題を終わらせていました。)ところが、後半のアプリケーション開発になると、それはもうボロボロな状態で、全然Aさんの課題が終わらない。という状況になっていました。

Aさんは、あまり誰ともつるまず、いつも独りで黙々と取り組む人でした。独力で自走できることは素晴らしいと思うのですが、いざ詰まったときに、誰にも聞けない。聞ける人がいない。という弱みがあったのです。そして他のチームメンバーとも連携をうまく取れていませんでした。

コミュニケーションが大事。というのは開発現場に立つ今も痛感します。

卒業までに、どれくらいの勉強量が必要なんですか?

卒業するには600時間の勉強量が必要です。短期コースの場合2ヶ月半でその量をこなします。もちろん自己申告も含めるので曖昧ではあるのですが、質問をするときに利用する学習用Webシステム上でも勉強時間の記録がされています。私の場合は、休みはほぼなしで毎日8〜12時間は勉強してました。他の人もそんな感じでしたね。大学受験のときより勉強しましたよ。

めちゃくちゃ大変じゃないですか?

課題もわからないことも多いので、確かにめちゃくちゃ大変です。
でも意外かもしれませんが、辛くはなかったです。その理由は大きく3つあります。

  • 仲間の存在
  • 具体的な目標
  • 成長の実感

ひとつは、「仲間の存在」です。
同じ状況で勉強を頑張っている他の受講生たちと、毎日顔を合わすので自然と仲良くなることが出来ました。帰り道にみんなでメシに行ったり、お互いに教え合ったり、遊び感覚も取り入れて課題制作に取り組んだりして、切磋琢磨しながら勉強を楽しむことができました。仲間がいてくれたおかげで「しんどい」というよりも「楽しい」と感じて前向きに取り組み続けることができました。

ふたつめは、「具体的な目標」です。
大学の講義よりも、テックキャンプの方が100倍おもしろかった。それは「将来、なんの役に立つのだろう」とわけもわからず単位欲しさで嫌々勉強していた大学の授業に比べて、テックキャンプの場合は「なりたい自分になるんだ」という具体的な目標を持って、自分で納得してお金を払って、学習に本気で挑んでいたからだと思います。

みっつめは、「成長の実感」です。
プログラミングって、できる/できないという結果が明確にでます。容赦無く無慈悲で、そこが面白いところです。
正しくプログラムを書けば、正しい結果が画面に出るし、そうでなければエラーとなって全く進みません。
だからこそ、エラー解消したときは達成感を得られますし、自分の成長を一日一日明確に実感することができます。
本当に「昨日できなかったことが、今日できるようになった」の連続なんです。ゲーム感覚でハマることができれば、無意識で何時間も没頭して続けられる要因はこれだと思います。

テックキャンプ学習カリキュラムを楽しむコツを教えてください。

まずは、「積極的に人に話しかける」ということ。メンターさんに対してはもちろんそうですが、それよりも同じ教室にいる「他の受講生の方」たちに対して、たくさん話しかけることですね。
そうすることで、いつの間にか「他の受講生の方」が「同志」になってます。

次に、カリキュラムがどこまで進んだか。どこまで理解できたか。どんな制作物を作ったか。ということを同志と見せあいながら「競争」することです。これで楽しめます。

どれくらいの年齢層の方がおられますか?

第二新卒くらいの25歳前後という方が多いです。30・40代の方もチラホラおられました。

途中に現れる壁

挫折しませんでしたか?

テックキャンプのカリキュラムを進めていく途中で、挫折ポイントとも言うべき、いくつかの壁が現れます。
私の場合は、以下4つの壁にぶつかりました

  • HTML/CSS学習・・・画面にすぐ反映して、おもしろい!スイスイ学習できた
  • Ruby基礎学習1 ・・・第1の壁「エラーが出てどうすればいいか意味不明」
  • Ruby基礎学習2 ・・・第2の壁「論理的に記述する方法が意味不明」
  • jQuery学習・・・・・第3の壁「文法が意味不明」
  • Ruby on Rails学習・・・第4の壁「どこ通ってるか意味不明」

それぞれについて、ぶつかった壁と解消したやり方をご参考までにご紹介します。

第1の壁:エラーが出てどうすればいいか意味不明

HTML/CSSの学習は、つまづくことなく進めました。フロントエンドはすぐに画面に反映して、見た目のデザインをイジることができるので楽しかったです。
それに比べて、バックエンドのRuby学習に入ったとき、正しくプログラミングできていないときにエラーが出てしまって、要領を得ない英語で書かれてるし、解決策がサッパリで、頓挫してしまいます。
この状態は、おそらく受講生全員が通る道だと思います。

解決策は、やっぱり「仲間にエラー解決方法を聞く」です。

メンターに聞くんじゃないんですか?

最初はメンターに聞いてました。でもそのうち、聞けなくなったのです。
今はわかりませんが、当時テックキャンプはすごい勢いで急成長しているサービスだったので、受講生の数が毎週どんどん増えてきてるという状況でした。

最初、心斎橋校は、50人で満席になる部屋が1部屋で、出席者は30数名程度。メンターさんが数名いたので、質問できていたのですが、すぐに50人満杯状態になり、もう1部屋追加されて2部屋になってそれも満杯になり、今は難波の数百名入る規模の部屋(ビルの1フロア)に移られたと聞いてます。その急成長の過渡期(2019年3月〜5月)に居たもので、スタッフの方の数も足りない状態になり、質問して手をあげても「10分待ち」というような状態。10分ぼーっと待つのも時間が勿体ないので、仲間内に相談してみんなの力でなんとかエラーを解決してました。

第2の壁:論理的に記述する方法が意味不明

Rubyの課題で、「今年は閏年かどうか判定せよ」とか「鶴亀算」みたいな計算を解く問題が出されるのですが、筆記で手計算であれば難なく解けるのに、プログラムで書けと言われた途端急に出来なくなる「謎の現象」が起きました。
具体的な数値で「算数をする」のと、どんな数字でも入る x や y といった変数で記述する「数学をする」のが、違うようなそんなイメージです。

これに関しての解決法は、「習うより慣れろ」に尽きます。
どんどん問題にチャレンジして、短いプログラムをどんどん書く。というのを延々繰り返します。毎日8〜12時間くらいの勉強を1ヶ月間くらい続けていると、自然と、こういう問題はこういうふうにプログラム書く、という勘どころを抑えられるようになります。

第3の壁:jQueryの文法が意味不明

Rubyについては基礎的な文法を抑えつつやるのですが、課題制作に必要となるフロントエンド側の技術である「jQeury」に関しては、比較的、サラッとしか基礎を抑えずに、いきなり応用として実装に取り組むことになります。

そこで一気に「なぜそうなるのか?この書き方はなんなのか?」と意味不明状態に陥ります。
これは他の仲間もみんなそうでした。
jQeuryの基本技術であるjavascriptという言語の基本文法まで、イチから丁寧に説明する時間的余裕が無いんだと思います。ただしいずれにせよ言えることは、基本を理解をせずに実装を進めると、詰みます

解決策としては、私の場合は、愚直にひとつひとつの記載されている文法・表記をググっていって、自分の頭の中で噛み砕いて理解する。という学び方をしました。

ある友人は、javascriptの文法リファレンスをお経のように、じっくり読み上げたり(笑)
またある友人は、テックキャンプとは別のWEB学習教材を購入して、勉強したり。
それぞれ創意工夫して教え合いつつ突破しました。

学習教材ってお金おいくらくらいするもんですか?

書籍だと3000円くらい。udemyみたいな動画教材は、1000〜2000円くらいが多いです。
オンライン教材でも、「メンターに聞ける」みたいなオプションがつくと急に高くつきます。
10万円以上となってきます。

第4の壁:どこ通ってるか意味不明

テックキャンプでは、Ruby on RailsというWEBフレームワークを通して学習を進めることとなりますが、どこから呼び出されて、どこにつながって、どこのファイルが関係しているのか?というのが全く見えなくて、困りました。

私の解決策としては、以下の流れを実践して、ファイル間のつながりを観察しました。

  • 1.まず、「画面を出す」。さっさと課題はクリアして提出する。
  • 2.そのあとで復習として、どういう手続きの流れでその「画面」に到達したのか処理をじっくりトレースする。
  • 3.あるいは、途中のファイルを消したり、書き換えたりして、わざとエラーとなるかを試す。
  • 4.どんなエラーが出たかを見る。

前半まとめ

なるほど。テックキャンプの内情と学習のコツやつまづきポイントなど赤裸々に語っていただきました。
キーワードは「仲間」ですね。
次は、テックキャンプの転職支援。転職後の仕事ぶり。そしてどうやってフリーランスになったのか。について伺います。

ーーー後半へ続く。(C.V. キートン山田)