どうも、インタビュワーしんのすけです。
前回の続きです。
プログラミング未経験の状態から、プログラミングスクールの「テックキャンプ TECH::CAMP」(※)に通われ、卒業後は自社Web開発系ベンチャー企業へ就職、現在はフリーランスエンジニアとして独立し、一年間仕事をされた金久正治(かねひさまさはる)さんにお話を伺いました。
(※... 金久さんが通われていた時期はテックエキスパートTECH::EXPERTという名称でした。改名されたそうなので記事内では「テックキャンプ」で統一表記にします。)
長文記事になったので、前後編に分けました。
- 前編・・・テックキャンプでの学習について聞いてみた。
- 後編・・・テックキャンプでの転職支援/卒業後、就職先での仕事/フリーランスとしての独立について聞いてみた。(本記事)
前回はコチラ
テックキャンプの転職支援について
就職活動について教えてください。
カリキュラム修了後、まず履歴書を用意しつつ、同時に仕事探しを始めます。
就活支援のメンターが別にいて、その方のサポートを受けながら、履歴書を用意しました。
面接対策は自由で、希望者はサポートしてもらえます。私は3回面接対策の支援を受けました。
テックキャンプ生向けの求人が、当時(2019年5月)で約100件くらい来ていました。多分今はもっと増えてると思います。
求人の中から、希望する会社を見繕って、一次書類審査・二次面接へと進みます。ほとんどの会社が審査はこれだけで、筆記試験などはありませんでした。適性検査(心理テストみたいなやつ)は1社だけやりました。
テックキャンプが主催する合同会社説明会があって、企業側としては勉強の風景を見ることができて、受講生たちからすれば、実際の会社の説明が聞けます。私のときは、3社来られてました。これはとても良いイベントでしたね。
求人の内訳を教えてください。
私のときで、よければ。(2019年5月時の大阪 心斎橋校)
2割くらいが、ベンチャー系や自社Web開発企業。
3割くらいはSES。
あとは、中小規模の受託系システム開発企業です。
ほんの一部(5%未満)に、大企業の求人も入ってました。
SESに就職した人はどれくらいいますか?
珍しいことだとは思うのですが、私の同期はだれもSESには就職しなかったですね。
同期卒業したのは、短期コース6名。長期コース4名の計10名だったのですが、1名は直接フリーランスに。私含めて7名はシステム開発企業へ就職。残り2名は、離職せず夜間受講されてたので、そのままのお勤め先。といった感じです。
求人のお給料はどれくらいですか?
だいたい月給20万円くらいです。未経験者なので、基本は大卒の新人と同じ扱いです。
私が見た範囲だと、最低16万円〜最高28万円ぐらいの幅の求人内容でした。
仮に年収が一時的に下がっても、エンジニアは将来性のある仕事なので、全然安いとは思いません。
金久さんの就活はどんな感じでしたか?
一次書類審査で、6社エントリーを出して、4社通りました。
内、1社は辞退させていただきました。面接を経て、そのまま3社内定いただきました。
結果、自社Web系開発企業さんへと決めて、転職を決めました。
就活期間としては、2週間でした。
2週間で3件内定!?すごいですね。他の方はどうでしたか?
仲間も似たような感じでみんな2週間以内に内定決まってました。
第一希望から内定もらえたから、他の企業の審査は辞退するということをされてました。
「内定もらえない。。。」という人は1人もいなかったですね。
ただし、条件にこだわって、なかなか決めきれず、就活を延長する人はいました。
ポートフォリオ(作品集)も提出しましたか?
一次書類審査のときに、課題制作で作ったメルカリクローンのWebアプリや、githubアカウントも履歴書に添えて、提出します。渋谷界隈のWeb企業さんからは「見飽きた」という意見があるそうですが、私のとき(大阪近辺)だとむしろ「なかなか想定以上によく出来た優秀なものを作ってるね」とよく言われ、驚かれてました。
卒業後、就職先での仕事
どうやって会社を選ばれましたか?
もともと私はフリーランス志望でした。しかし、テックキャンプの就活支援メンターに相談しても、他の方に聞いてみても、「未経験からいきなりフリーランスエンジニアになるのは無理だ。無謀だ。」と言われて、それならば、2〜3年間勤めて経験を積んでから独立しようと考えました。
そこで、できるだけ厳しい環境に身を置くことで、自分のプログラミングスキルを爆上げさせるつもりで、社員数6名のベンチャー企業で、且つ私含めて開発者2名という、あえて険しい道を選びました。
テックキャンプで培った技術力は、開発現場で通用しましたか?
学習の意味が全くない。ということは言いませんが、正直な感想を言うと、最初は何も通用しませんでした。
600時間の勉強は、あくまでスタートラインに立つためのもので、エンジニアとしての「本当の勉強」は、就職して開発現場に立ってから始まった。そんな印象です。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)というやつですね。
実際にお給料をもらいながら、スクールのときとはまた違った現場の勉強が始まります。
テックキャンプ仲間とも連絡を取ると思いますが、他のみんなはどうでしたか?
みんな「ひたすら、謝りながらやってる」って電話の向こうで苦笑してました。。。(笑)
「すみません!って言いながらもやるしかない!」って。笑
企業側も、未経験者と分かってて、伸びしろ採用されているのだと思いますが、やはり最初はミスだらけ失敗だらけですから、周囲に迷惑をかけつつ学んでいくので、コミュ力はやはり大事だなと。。。
どんなふうに仕事をしましたか?
私含めて2名の開発者と言いましたが、上司がめちゃくちゃデキる人でした。
人手が足りな過ぎて困っており、教えてもらえる余裕なんて無い。といった状態でした。
一番最初にやった仕事は、サイトのページのレイアウトを考えてくれ。というもので、フロントエンドの仕事だったのですが、詳細な指示もないし、「自分で考えて、工夫して、いい感じに作って」というような仕事でした。
一生懸命食らいつこうとしました。背中をみて学び。自主的に学習もしました。
毎日始発〜終電で仕事。サービス残業。土日も仕事。睡眠時間も平均3時間以下。。。
気がつけば、鬱になってました。。。
お、おいっ。泣くなよぉ!
すみません(笑)。ちょっぴり思い出しました。
キツかった。しんどかった。
最初は「頑張ろう」って根気がありました。
でも、人って根気だけじゃ仕事をこなすことはできないんですよ。それは嫌というほど身に沁みました。
過労が重なって、あるときにポキっと気持ちが折れたんです。
完全に「鬱」に入っちゃって、すべての物事を悪い方に捉えてしまう、という負のループに陥ってました。
自覚していたので、まだ良かったとは思いますが。
精神的に病んでしまった。
せっかく転職したんですが、わずか半年で、辞めてしまいました。
あえて自分で厳しい道を選んでこれです。
大リーグ養成ギブスが強すぎて、ガンッって自分が壊れちゃったんやねー(笑)
そうですね(笑)
すぐに、辞めてしまって、ゼロになった。。。
どうせやりたいのなら、もう失敗してもいいから、フリーランスやっちゃえ。となりました。
無謀かもしれませんが、自暴自棄でした。
しんのすけさんにも相談しました。
やれるところまでやって駄目だったら、もう一回就職してやり直せばいいだけ。
どうせ失うものはなにもない。好きにやれば。
と言われ、決断しました。
苦境からの独立、フリーランスへ
プログラミングスクール卒業して、フリーランスになる人って少ないんじゃないですか?
相当少ない、珍しいタイプだとは思います。
あのときの決断力は、見惚れるものがありました。
ありがとうございます。
正直すぐ廃業すると思ってましたよ。
え!?マジっすか(笑)
でも、なんやかんやでお仕事見つけて、結果ずっと続けられているのはすごい。どうやって?
もうかれこれ独立してから一年以上が経ちますね。
自分でもこうしていられるのが、不思議です。
仕事は大阪本町のコワーキングスペース(billage)に契約して、そこの交流会に参加して、そこで出会った人たちからお仕事をいただくことができました。
現在もそのときのお客様とお取引が続いていて、それで食べていけているので、とても感謝しています。
コワーキングスペース・交流会にいけば仕事が見つかると?
はい。
コワーキングとかそういう協働スペースにおいて、プログラマを必要とする人は絶対現れてくる。
私も何度か「見積もり相談」を受けました。とても不思議な気分です。
未経験ではないものの現場経験半年間くらいのレベルの自分が、です。
「僕でええの?」って内心ビクビクしながらプロっぽく話を聞いて、人に相談しながら、見積書を書いたりしてます。
とにかく名刺を配っておけば、すぐに用は無くても、必要性が出てきたら、「そういえばあの子いたな」って思い出してもらえるパターンもありますしね。
今、将来の不安は無いですか?
今はもう不安は無いですね。
なんの後ろ盾もなく、なんの保証もないのに、放浪の旅に出る。スクール行く。転職する。フリーランスになる。
ということをやってきて、今現在なんとか食べていけている。
だから今後なにかが起きても、自分ならなんとかするんじゃないか。という根拠の無い自信が出来ました。
来年もなんの保証もないけど、今までなんとかなってきたし、これからもなんとかなるっしょっ!て感じです。
いいですね。フリーランスらしくなってきましたね。いろんなミラクルというか偶然に守られてますね。
そうですね。いろんな人たちに救われて、生きてます。本当に感謝です。
いろんな方向に、足向けて寝れないですね(笑)
人生はこういう巡り合わせや「偶然」で回ってるのだと考えると、とても興味深いです。
ただ、私が学んだことは、受け身だけじゃ「偶然」は起きない。ということです。
詳しく教えてください。
ちょっとの勇気と、ノリですね。
フィリピンで日本語を話す人を見かけたとき、少し勇気が要りましたけど、声をかけました。
そうしたら、「偶然」フリーランスの人でした。
スクールでも、50万円払ったからプログラミング教えてくれや。という姿勢ではなく、少しの勇気を出して、自ら周囲に「メシ食いに行きましょう」と声をかけました。
そうしたら、かけがえのない「仲間」ができました。
フリーランスの登壇イベントでしんのすけさんの話を聞いたときも、イベント終了後、一緒に聞いてた友達は「先に出とく」と言ってそそくさと会場を出ましたが、私は話しかけにいきました。そうしたら有志のジョギング部をされてたので、ノリで参加しました。「作ったもん見せ部」も同じですね。するとエンジニアの知り合いが増えました。
きっかけそのものは、きっといろんなところにあるんでしょうけど、
ちょっとの勇気を出して、行動を起こした結果、「偶然」が起きたんだと思います。
いい話ですね。この2年間ぐらい激しかったんじゃないですか?
激しいです。
でも、充実してました。なんというか、ターニングポイントを楽しんでます。
去年やってなかったことを、今年はやっていて、毎年やってることが違う。というのが最高に楽しいです!
3年間サラリーマンやってたときには、こんな楽しい毎日じゃなかった。
朝起きて、「あぁ、仕事や。あぁ、仕方ない。」という気持ちを繰り返す毎日。
以前の仕事の概念と、今の仕事の概念が全然違う。
エンジニア以前の仕事と、今の仕事。どう違いますか?
エンジニアになる前の仕事は、上司からこれやっといて、と言われたことやるだけ。
1mm歯車を大きくしたら、どうなるか?という研究用の図面起こしの仕事。
その仕事になんの意味があるのか。まったくわからない仕事だった。
これをして、誰が喜ぶのかまったく見えない仕事だった。
早く終わらせたからといって褒められるわけでもなく、じゃあ次これ。という無限に仕事が振られるだけ。
だから袋小路に迷い込んでました。
なんのために自分はこれをやってるんだろう。という気持ちになってました。
フリーランスになると、やらされている。という気持ちではなく、自らやっている。という気持ちです。
絶対今の人生の方がいい。って胸を張って言えますもん。
自分発信で、これをこうした方がもっと良くなるんじゃないか?と考えて、お客さんに提案したり相談したりして、仕事を進めています。自分から考えて仕事に向かっている。だから、ストレスが無い。
なるほど。収入面ではどうですか?
元職よりかは微増くらいです。すごいガッツリ儲かってるわけじゃないので、それはこれから。って感じですね。
でも、金額以上に大事なことを得ています。
自分らしく働けています。単純に金額だけじゃ比較できないです。
今後はどうしていきたいですか?
儲かるかはわかりませんが、自分発信として、副業を支援するようなシステムを作れたらいいなと考えています。
あのときよりも辛いことはもう無い。って思うと逆にこれから何も怖れるものはない。
頑張っていきます。
本日はありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
改めて振り返れてとても良い機会でした。
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